2006-06-13

'Someday my prince will come'


私の父はジャズピアノを弾く。オスカー・ピーターソンがお気に入り。物心ついた時から聴いているのであまりに自然で、敢えて父の趣味はJAZZ PIANOですって感じはしないけど、大人になってから、父がピアノ弾くってすごいよねえ?と思うようになった。

父のピアノは自己流で、かなり自然体。楽譜どおりに弾くのを聴いた事もなければ、どの指にどの鍵盤っていう記号も存在しないかのよう。父曰く、『おとうさん、そーいうの好きじゃない』、『ガチガチになってやってもさー楽しくないじゃ』。若者だった頃、プロになりたいと思ったこともあったそうだが、父親に食べていくのは難しいと言われ断念したそう。

友達が遊びに来ると、どこからともなく『こんにちは』とやってきて、『ピアノ聴きたい?』と私の友達に聞く。友達が「聴きたいでーす」と言ってくれると、うれしそうに弾きだして、2-3曲披露してくれる。終わると、『じゃあ、ゆっくりしてってね。』と言って去ってゆく。友達の間でも、ピアノを弾くお父さんと有名だ。

3階にふらっとピアノを弾きに来る時は、アーティストと呼ばれる。というか、最初にそう呼んだのは父だけど。アーティストがノッている時は、たとえ見たいTVがあっても、「見たいTVがあるんだけどー」、なんて言わない。横でルームランナーをするのは勘弁してもらってるが、だいぶアーティストの気分を害されるらしい。そのうち、2階にいる母から、「アーティストー、お風呂入っちゃってー」』なんて呼ばれると、『今日のレッスン終わり』と言って、すぐに母の元へゆく。

ジャズの最後に弾かれる曲、それが'Someday my prince will come'だ。
2人の娘を持つ父として、いつか王子様が現れるようにと願いを込めて弾いてくれているみたい。その効果あってか、姉が昨年11月にゴールイン♪した。それまでは、一人に一曲づつ、計2回弾いてくれていた。「ちゃんとふたり分弾いてくれた?」と母、姉、私の誰かから確認が入ったりするので、『ちゃんと、ふたり分弾いといたからね。』ってアピールも欠かさない。

今は、『ひとりは片付いたから、もうひとりの娘のために一曲弾くかー』と毎回言いながら、弾いてくれる。

父 『健康で、おとーさんみたいな野郎はいないかーハハハ』
私 『うん、いないよ、おとうさん』
父 『そうか、いつかおとうさんみたいな人が現れるよ』
私 『じゃぁ、現れるように王子様(略して呼んでいる)弾いといて』
父 『よしよしっ』
♪♪♪♪♪
父 『お父さんが弾いといたから、見つかるら。』

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